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EMC設計から見た筐体設計
概要
筐体のシールド効果
- PCB単体でEMCに対して最適化設計をしたとしても、PCBが直接高周波強電界にさらされるようなモードがある場合は、例えばCPUチップそのものが誤動作・損傷し無力である場合が多く見られます。
- 従ってこのような状況の場合はPCBを電磁シールドし、EMCの伝播経路をコネクター部(外部インターフェース部)に特定し対策することがその後の作業を簡略化することになります。
- 電磁シールドは、基本的には導体でPCB全体を覆う構造から成り立ちます。
- 導体は物理的に連続である必要は無く、電気的に連続であれば問題ありません。
筐体の共振
- 筐体を導体で構成した場合、筐体自体が共振しアンテナを形成する可能性があります。また導体中に明けたスリット(スキマ)も共振しアンテナを形成します。
- 共振には種々のモードが存在しますが、基本的には構造寸法と外部へのアースポイントを工夫してEMC仕様帯域での共振を防ぎます。
具体的考え方
筐体材質
- EMCから見た筐体の材質は、PCBから輻射された高周波エネルギーを筐体でシールドするという観点から下記の性能が要求されます。
- 良導体であること。
- 高周波電流は表皮効果によりその表面よりコンマ数ミクロンの表面しか流れないため、メッキでもOK.
- コネクター等の物理的インターフェースの要求する「穴」は最小にすること。一般的に使用周波数の1/10波長以下の[穴」は電気的に無視できます。
- PCBの充填材料
- PCBを機械的理由で充填する必要がある場合、充填材を下記基準で選定すると耐EMC特性上有効です。
- 大きい誘電率の材料は、PCBが発生する電気力線を誘電体中に閉じ込め、シールド効果を生じます。
- 大きい誘電正接の材料はPCB回路に高周波損失を与えQを低下させます。
筐体寸法
- 筐体が良導体で構成された場合、電気的に共振しアンテナを構成します。
- 片端が短絡されもう片端が開放された導体は、その長さが1/4波長の奇数倍の周波数で共振します。
- 両端が短絡もしくは開放の導体は、その長さが1/2波長の整数倍の周波数で共振します。
- 両端が開放された導体はその周囲長が1波長の整数倍の周波数で共振します。
- 従ってEMC当該周波数範囲で上記を満足する形状寸法は避けたほうが無難でしょう。避けられない場合は外部アースのポイント数等を工夫して、共振周波数をずらす工夫が必要となります。
筐体グラウンドポイント
- 筐体の外部へのアースポイントは筐体の電気的共振を防ぐ意味で重要です。
- 前記の筐体の共振モードの短絡端の位置での接地は避けるべきです。
- 筐体の外部グラウンド長
- 筐体から外部へのグラウンドの長さは最短であるべきです。
またインピーダンスを下げる為、なるべく広く短いブラケット状のグラウンドが望まれます。
- 長さの許容値は当該周波数の1/10波長以下が目安です。これ以上の長さでグラウンドする場合は、新たに外部グラウンド長も含めた共振の検討が必要となります。
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