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質問機の回路構成


質問器のRFブロックの機能は送信データによる搬送波の変調、増幅、またカードよりのリード信号の復調です。各ブロックについて概略説明します。

質問器RFブロック図



誘電体発振器の例

発振器の一例として、誘電体共振器を使用したDROを紹介します。能動素子にガリウム砒素MESFETをソース接地で使用し、ドレイン−ソース間に誘電体共振器で正帰還をかけ発振器を構成しています。共振器は直径25mm、厚さ約10mmの誘電体の円柱型の棒で比誘電率=38、無負荷Q=10000以上の物です。帰還量と位相はストリップラインとの間隔と位置により調整します。また発振周波数は回路全体を金属キャビティーに入れ、調整ビス等でキャビティー容積を微調整して調整します。



・誘電体共振器でドレイン・ゲート間に正帰還を掛け発振器を構成
・帰還量・位相は共振器の位置によって決定する

この発振器は-40〜60℃の温度範囲で±200kHz程度の周波数変動特性が実現出来ます。
また発振器を2.5GHz帯域のVCOを使ったPLLでも構成出来ますが、発振スペクトラムにPLLループの位相雑音が付加されますので注意が必要です。

A1D変調器の回路例

PINダイオード一本で構成したA1D変調器の例を紹介します。
回路はダイオードバイアス電流がONの時RF入力が全反射、OFFの時通過の動作をします。反射電力は入力部にアッテネータ等を挿入して吸収します。このダイオード一本の回路でON-OFF比は30dB以上とれます。



・ダイオードONで全反射
・ダイオードOFFで通過

電波法では変調時のパワースペクトラムの99%帯域幅が5.5MHz以下に規定されていますので変調速度を高くする場合はベースバンド帯域制限するなどの考慮が必要です。

電力増幅部

電力増幅部はP1dBが0.5W〜1W程度のガリウム砒素パワーFETを最終段にしAクラス増幅器を構成します。出力電力の温度変動を考慮して、出力電力をモニターし一定に保つAPC回路をそなえます。
詳細については省略します。

ホモダイン検波部回路例

ホモダイン検波部では送信搬送波と受信搬送波の位相差を同期検波しBPSK復調します。
受信信号の位相情報には質問器−カード間の距離に依存する位相差が付加されますので、BPSK復調したデータは距離により[1][0] 受信不能(ヌル)の三つの状態を取りますので、互いに 90゜の位相差の検波器を2個設けデータの不確実性を回避します。


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