RFD-Lab

920MHz帯電波の土壌内への伝播に関する基本確認シミュレーション例

<目的>
−空中に設置した送信機から地中に埋設した無線装置へのアクセスが可能かの基本確認。
−平面アンテナを使用した地表からの電力注入の基本確認。


空中から土壌への平面波伝播の基本確認


−パラメータ : 地表への入射角(電波の到来角度)

<シミュレーション概略図>

−計算範囲 : 1200mm×1200mm×1200mm
−セル数□□ : 50×50×50=125,000
−シミュレータ: FDTD法電磁シミュレータ
−土壌寸法□□:1200mm×1200mm 厚さ:600mm(X方向)
−計算周波数:920MHz
−パラメータ : 地表への入射角(電波の到来角度)


<シミュレーション結果>

土壌の電気定数を空気としたときの平面波伝播
−入射角0度(垂直(天頂)方向)
  注 : シミュレーション都合上、X方向が天頂方向
アニメーション右側が天頂方向

コメント:土壌が無い時の平面波伝播、波面が整列して伝播

土壌の電気定数:εr=10, σ=0.001(ローム土相当)
−入射角0度(垂直(天頂)方向)
アニメーション右側が天頂方向

コメント:土壌中の伝播速度は空気中に比べ約比誘電率εrの平方根の逆数倍となり、伝播波長
が約30%と観測される。

土壌の電気定数を空気としたときの平面波伝播
−入射角45度(天頂から45度)
アニメーション右側が天頂方向


土壌の電気定数:εr=10, σ=0.001(ローム土相当)
−入射角45度(天頂から45度)
アニメーション右側が天頂方向


土壌の電気定数を空気としたときの平面波伝播
−入射角75度(天頂から75度)
アニメーション右側が天頂方向


土壌の電気定数:εr=10, σ=0.001(ローム土相当)
−入射角75度(天頂から75度)
アニメーション右側が天頂方向

コメント:天頂から75度の入射角(地平方向)では地中へは殆ど伝播しない。

<結果考察>

−入射角が0度(地面に垂直方向(天頂方向)に相当)の場合は地面の反射はあるものの比較的伝播する。
−入射角が大きい場合は地面の反射で殆ど伝播しない。
−空中に設置する送信機のビームパターンは地面に垂直方向が望ましい。

平面アンテナによる地中への電波注入の基本確認

<シミュレーション概略図>
−計算範囲 : 1500mm×1000mm×1000mm
−セル数□□ : 64×56×56=200,704
−シミュレータ: FDTD法電磁シミュレータ
−土壌寸法□□:1000mm×600mm 厚さ:750mm(X方向)
−パッチ寸法:144mm×144mm(λ/2) (後日縮小可能)
−アンテナ共振周波数:905MHz(調整可能)
−パッチ・地表間隔:50mm



<シミュレーション結果>
土壌の電気定数:εr=10, σ=0.001(ローム土相当)
シミュレーション都合上アニメーション左側が天頂方向

コメント:地表から50mmの間隔に設置した地表に相対する平面アンテナにより、直接土壌内に
□□□□□900MHz帯域の電力を注入できる事が確認できる。

アンテナインピーダンス整合(反射損失)
給電点インピーダンス(スミスチャート)


VSWR特性

−設定寸法で共振周波数は905MHz(後日目的周波数にチューニング可能)
−反射損失は1/100程度(VSWR=1.5以下)で殆どの電力は土壌中に注入されている。

<結果考察

−地表に近接した平面状のアンテナで地中に直接的に電波を注入できる。
−本シミュレーションでは地面とアンテナの間隔を50mmとして評価したが、使用周波数帯の波長から
考察すると100mm程度までは可能と思われる。


注記1

−土壌の電気定数、特に比誘電率εrと導電率σは土壌の材質(ローム土、岩、砂利等)と含水率に大きく
依存し、またアンテナ設計時にも大きなパラメータとなるので精査が必要。
−通信機の埋設方法や埋設土の種類等を土木設計である程度規定出来ると、アンテナ設計等の電気設計は容易に
なるので土木設計との連携が重要ポイントとなる。

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